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むかで屋日常

練馬の片隅に生きる江戸型彫り職人見習いと、その影武者のブログ

むかで屋日常番外編 藍の生葉で木綿のTシャツを染めました

 このブログのまくらでは、「暑い暑い」と言ってばかりですが、本当に暑いですねえ。
 


 さて、この異様な暑さ、植物にもかなり堪えるようです。
5月に種をまいて以来、順調にすくすく育って(アイはとても丈夫な草なので、ほとんど手をかけなくても勝手に育つのです)くれていたアイが、このところの暑さにやられてしおれ気味。
黒く枯れてしまった葉もちらほら見受けられるので、染物に使えなくなる前に、急いで染めなくっちゃ!という訳で、藍の生葉染めに挑戦しました。



 こちらは、数年前に染めた絹の帯揚げ。
通常、藍の生葉で染めることが出来るのは、絹や羊毛などの動物性の繊維だけです。
(「藍」と言えば木綿を紺色に染めたものの方がポピュラーですが、あれは藍の葉を発酵させて色素を得るという、特殊な技法で染められています)
アイのもつ色素は、動物由来の繊維にあるタンパク質にはよく反応するけれど、植物性の繊維にあるセルロースなどの成分にはほとんど反応しないため、木綿を染めようとしても色素が定着しないのです。
でも、毎年毎年絹のスカーフやハンカチばかり染めるのも飽きてきてしまうし、もっと日常的に使えるものを染めたかったので、今回は少し冒険して木綿のTシャツ(綿100%のもの。私は無印良品オーガニックコットンを使用しました)を染めることにしました。



たんぱく質をあまり含まない木綿を、たんぱく質に反応する色素で染めるにはどうすればよいか、そう、「木綿にたんぱく質をおぎなえばいい!」のです。



と、いう訳で成分無調整(調整のものは糖分などが入っているので不向き)の豆乳を同量の水で割った液体に、Tシャツを漬け込みます。


30分ほど漬け置いたら、絞って乾かします。
嫌な臭いになったりしないか心配でしたが、すこし青臭いにおいがするかなあ、といったくらいでほとんど気になりませんでした。



布が乾いたら、今度は水につけて30分ほど水分を吸収させます。



その間に、育ったアイを収穫。
茎を1から2cm残して、思い切ってバッサリ刈ります。
奥の方に3株くらい残っているのは、このまま育てて種を採るためです。
ほとんど丸坊主に刈ってますが、残した茎から新しい茎と葉が生えてきて、ひと月ほどするとまた元のように茂ります。
新しく生えた部分(二番刈り)も、もちろん染色に使えますよ。
アイの生命力恐るべし。



収穫したアイを葉と茎に分けます。
茎は、二番刈りの茎と合わせて別のものを染めるのに使いたいので、小さく切りそろえて冷凍庫に。
葉は、不織布の袋にためてこれから生葉染めに使います。



収穫した葉の重さは、58グラム、うーん、ちょっと少ないなあ。
Tシャツの重さが115グラムくらいだったので、半分もないということに……この時はちゃんと染まるのか、かなり不安でした。



絹に染める場合はなんの薬品も使わずに染められるのですが、木綿の場合は薬品の力を借りて染液を還元します。
使う薬品は、消石灰とハイドロ。
いずれも10グラムの薬品を200ミリリットルの水に溶かしておきます。
(と、言っても消石灰は水に溶けないので上澄み液を使います)www.tanaka-nao.co.jp
ハイドロと消石灰は、田中直染料店で購入しました。
消石灰に関しては、大きな園芸店にはありそう(私が行った店では「苦土石灰」しか売っていなかったですが)ですし、お菓子や乾物の吸収剤を使うという方法もあります。
まあ、染料店で購入しても226円なんですけどね。



いよいよ、染めにかかります。
生葉染めの染液は変質しやすいので、のんびりやりすぎると染まらないということも、時間との勝負です。
不織布の袋に入れたアイの葉を、1リットルほどの水に浸しまして……


揉みます、ひたすら揉みしだきます。
一般的な解説書には「ミキサーを使って葉をすりつぶし……」とありますが、ミキサー持ってないんです。
でも、手で揉み揉みするのも、小さい頃にした色水遊びみたいでなかなか楽しいし、気持ちいいですよ。
指の先が青く染まるけどね(よいこのみなさんは、手袋をして作業しましょう)



袋の中の葉がカスカスになるまで、ひたすら揉みましょう。
水が濃い緑色に染まって、全体にどろりとし、細かい泡が水面に浮かぶようになったら、まずは消石灰液の上澄み、続いてハイドロの水溶液を加え、静かに混ぜます。
すると、


水面に浮いた泡が青くなります。
これで染液は出来上がり、あとは染め本番です。



水から出して軽く絞ったTシャツを、染液にどぼんと漬けます。
染めムラが出ないよう、染液の中で3分ほど泳がせます。



1回目の染めが終わった直後。
染液の中では緑色だったTシャツが、空気に触れるとぱっと青くなります。
でも、まだ染むらがひどいのでもう一回染液につけて3分間。



2回目の染めが終わった直後。
だいぶ染めムラが減りましたが、まだ胸元に白い部分があるのでもう一回。



3回染めて、やっといい感じになりました。
染液の色もかなり薄くなってきたので、このあたりが限界かな?



流水で色が出なくなるまでよーくすすいで乾かせば出来上がり。
まだ湿った状態だと色が濃く見えるので、こころもち濃いめに染めた方が、期待通りに染まったりします。


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日陰でよく乾かして完成。
現物はこの写真よりも、少し淡い色です。
心配していた染めムラも、ほとんど目立ちません。
道具は揃っていないは、生葉の量が足りないはで、正直ほとんど染まらないだろうとあきらめていたのですが、イメージに近い色が得られて満足です。


「自分で育てたアイで染める」と言うとなにかものすごい大事業に思えますが、
実際にやってみると、アイはほとんど手入れなしでもすくすく成長しますし、生葉染め(特に動物性の繊維)もたいした準備なしに(ミキサー持ってなくても!)出来るので、らくちん、かつ楽しいですよ。
ちなみに、アイの種は徳島県庁などで配布されていて、春先に手紙で申し込むと郵送代だけの負担で送ってもらえます。


いまは、二番刈りの藍で何を染めようかと考えて、にやにやしています。
またこちらで報告すると思いますので、よかったらお付き合いください。


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参考にした書籍

アイの絵本 (そだててあそぼう)

アイの絵本 (そだててあそぼう)

つくって、あそぼう〈26〉藍染の絵本 (つくってあそぼう)

つくって、あそぼう〈26〉藍染の絵本 (つくってあそぼう)

草木染め大全―染料植物から染色技法まですべてがわかる

草木染め大全―染料植物から染色技法まですべてがわかる