むかで屋日常

練馬の片隅に生きる江戸型彫り職人見習いと、その影武者のブログ

 六本木のサントリー美術館で開催されている《2012年7月4日時点》
「紅型 琉球王朝のいろとかたち」展を見てきました。
http://www.suntory.co.jp/sma/exhibit/2012_03/index.html
 

 せっかくの機会なので五年ほど前に沖縄で買ったかりゆしシャツを着用。
 

もちろん本物の紅型ではありません。
 

 
 紅型(びんがた)は、沖縄で独自の発展を遂げた染色の技法。
黄色や赤の顔料を効果的に使った鮮やかな色彩と、主に自然をモチーフにしたおおらかな紋様が特徴です。
 
 会場には、国宝に指定されたものをはじめ、200点以上の貴重な紅型がところ狭しと並べられていました。

 私たちにとって嬉しかったのは、紅型を染めるための型紙が沢山展示されていたこと。
ほとんどの型紙は、その型で染められた着物の隣に展示されていたのも、勉強になって良かったです。

 紅型の型紙は、随所で日本本土の型紙技法の影響を感じさせながら、沖縄独自の発展を遂げていました。
 面白かったのが、江戸型彫り(伊勢型紙)の道具と紅型の道具が、よく似てるんだけど、ちょっと違うこと。
型を彫るための小刀は、沖縄ののこぎりから職人さんが自作している、先の部分がそっくり返った独特の形。
生地に顔料を刷り込むための刷毛も、八重山に自生している竹と女性の髪の毛から作られているそうで、本土とはだいぶ形が違いました。
 極めつけは、型を彫るとき柿渋紙(同居人氏いわく、この紙も紅型専用に作られたもので、本土の渋紙よりだいぶ分厚いとのこと)の下にひく道具。ルクジューと呼ばれるこの道具は、なんと木綿豆腐を乾燥させて作ります。

  
 紅型といえば、黄色地に赤や青色を差した鮮やかな色彩が代名詞のように思っていましたが、実際見てみると、結構渋い文様や色彩の着物もありました。
 自分で着てみたいと思った作品は、所謂紅型らしい色彩と文様のものより、青や紅色を基調にした渋めの物の方でしたね。

 特に気に入ったのは、藍染めの着物。沖縄にも藍染めがあるというのは、嬉しい発見でした(高齢者や下級武士の衣装に使われていたそうです)。
 藍というのは染料を発酵させて色を出すのですが、沖縄は暑いので本土とは藍の管理の仕方が違うのかな、と想像してみたり、
資料映像で「藍に元気をつける」ために藍がめに水あめを放り込む(多分、藍を発酵させている微生物が水あめを食べる?)のを見てびっくりしたりしました。
 
 ものづくりの技術というものは、どこに行っても同じように見えて土地土地で独自の発展を遂げているし、土地土地でバラバラなように見えてどこか共通するものがある。多様性も共通の基礎となる部分も大切にして、継承していかねばならんのだな、と気を引き締める夏の一日なのでした。
  
 
(文責:河合)